今回はアニメ制作における「撮影」という作業工程について説明していきたいと思います。
僕が本業でしているお仕事もこの「撮影」が主になります。
今回は普段僕が関わる機会の多いショートアニメの撮影について紹介していきたいと思います。
アニメで言うところの撮影って何なの?
結論から言うと、様々なところで作られた素材を「Adobe Aftereffects」などの編集ソフトに並べてアニメを仕上げ、完成させる工程です。
アニメはパラパラ漫画のようにたくさんの絵を連続で入れ替えることによってアニメーションさせています。その絵をちゃんと順番通り並べたり、絵をキラキラするエフェクトをかけたり、絵を3Dで配置してずらして実写のような空気感を出したり「最後の仕上げ」をする仕事です。
ちなみにこのパラパラ漫画の絵のことをアニメでは「セル画(せるが)」って言うよ。業界の人は短縮して「セル」って言ってる。アニメもそもそも「セル」を用いたアニメ「セルアニメ」の短縮形なんだってさ。
ではなぜ「撮影」というのかというと、答えは簡単。
実写でもそうでしたが、ひと昔前はフィルムや絵にエフェクトを載せるときガラス板などにセルシートをのっけて下から光を当てて真上から実際のカメラで撮影していました(らしい)。(詳しくは知らないので詳細教えてください)だから「撮影」というみたいです。
使うソフトは?
使うソフトは環境によっていろいろあるみたいですがメジャーなのは「Adobe Aftereffects」です。
最近では3DCGを用いた撮影もあるのでCGソフトも入りますが、結局CGソフトで作った素材をコンポジット(セルと合体)させるのも「Adobe Aftereffects」が主流です。
また完成したカットデータを並べて最後の一本の動画にするのは「Adobe Premiere pro」や「avid」の役目です。
「Adobe Aftereffects」だと音声と一緒に再生させるときにいちいちキャッシュがたまるのを待たなければいけないのでソフトを適材適所で使っています。これは実写業界と同じですね。
ちなみに、最後のカットを並べる一本化の作業は「V編」と呼ばれる放送規格にのせるための作業があって、そこで行うことも少なくないよ。
作業はどんなことをするのか
では「Adobe Aftereffects」を使ってどんな作業をするのか少しだけ紹介していきたいと思います。
- カメラのボケ感を表現する
- カメラのPANを表現する
- フェードイン、フェードアウト
- 光のフレアを入れる
- 影を入れる
- 火花を散らす
- ビームや魔法を放つ
- イメージ背景(イメ背)、流れる線の背景(流背)
あげたらきりがないですが、撮影の工程に来るまでに絵だけでは表現できていない不足している演出全部です。(その他二値線がーーーとか頬グラデをーーーなどいろいろ)
例えばイメ背ではやしまくんがビームを放つカットがあったとします。
ここでのセルは「はやしまくん」「ビーム」「イメージ背景」「手前のエフェクト」のように分かれているのでそれをしっかりと順番通り重ねて、ビームにキラキラのエフェクトを足してはやしまくんにビームの反射を入れて、ビームの衝撃で画面を揺らすなどそのカットで監督が表現したいことの最後の後押しをします。
また後日細かい表現方法などのところは記事にしていきたいと思います。
この作業をショートアニメなどでは20~40カット分作業することになります。この作業は結構時間がかかるため、その結果納期との戦いも必要になってきます。
そのため作業を単純にするために同じシーンの同じ場所の撮影は同じエフェクト、フィルターを使うなど統一感を出しつつ作業のボリュームを減らす工夫などもしています。
究極系は自動で撮影を付けてくれるエフェクトを作ったり、作業を単純化してくれるエクスプレッション(プログラミングのようなもの)を書いたりすることにつながっていきますね。
ちなみに30分アニメとかだと、各部署の作業の進め方の関係で
- 線撮:色を塗っていない線だけのセルで声優さんが声を録音するアフレコや、効果音を入れるダビング作業のための撮影
- タイミング撮:本撮の処理がまだ乗ってない素の状態、または一部の素材が仮の状態での撮影(知らずにみると完成した?と勘違いする)
- 本撮:仕上げ用の撮影
に分かれていたりして一旦ほかの工程のための作業がワンクッションあるからショートアニメの作業工程とはまたちょっと違うよ。
まとめ
いかがだったでしょうか今回は「撮影」という工程についてどのような役割を担っているか少しでも理解して興味を持っていただければ幸いです。
わからないことなどあればコメントいただければ幸いです!
このブログでは今後今回説明した「撮影」の手順を説明したり、副業に役立つ編集のtipsを発信していきたいと思っています。
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